新人技術者のための基礎とQC七つ道具・統計の考え方
製造業で働き始めると、早い段階で耳にする言葉が 「QC(品質管理)」 です。
「QC活動って大事だよ」「QC七つ道具を使おう」と言われても、
- そもそもQCって何?
- 統計とかグラフって難しそう…
- 現場でどう役に立つの?
と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初心者・新人技術者の方をイメージして、
- QC(品質管理)の基本
- データの考え方
- 統計的品質管理
- QC七つ道具・新QC七つ道具
- ヒストグラムや相関のイメージ
- eラーニングで体系的に学ぶ方法
までを、できるだけやさしく整理してご紹介します。
1. QC(品質管理)とは?なぜ必要なのか
まずは、QC(Quality Control:品質管理) の全体像から見ていきましょう。
1-1. QCの目的
QCを一言でいうと、
「お客様が求める品質を、ムダなく安定して実現し続けるためのしくみ」
です。
- 製品が規格を満たしているか
- 不良品をできるだけ出さないしくみになっているか
- 問題が起きた時に原因を特定し、再発防止できているか
といったことを、データやルールに基づいて管理・改善していく活動がQC(品質管理)です。
1-2. 現場でQCをするメリット
QC(品質管理)をきちんと行うと、次のようなメリットがあります。
- 不良品が減り、手直し・廃棄のコストが下がる
- 品質が安定することで、納期遅れやクレームが減る
- 「この会社の製品は安心だ」という信頼が積み上がる
- データに基づいて考える習慣が身につき、改善スピードが上がる
新人のうちは「検査してOK/NGを出すこと」が品質管理だと感じがちですが、QCの本質は 「品質をつくり込むプロセス」 を整えることにあります。
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2. QCで扱う「データ」の種類
― 数値データと言語データ
QC(品質管理)では、感覚や勘だけでなく、データに基づいて判断することがとても重要です。
ここでいう「データ」には、大きく分けて次の2種類があります。
2-1. 数値データ(数量データ)
メジャーや測定器で測れるような、数字で表されるデータです。
その中でも、さらに2つに分かれます。
計量値(連続して変わるデータ)
- 長さ(mm)
- 重さ(g、kg)
- 温度(℃)
- 時間(秒)
- 寿命(時間・回数)
- 電流値 など
小数点を含めて連続的に変化するデータで、測定器を使って測るものが多いです。
計数値(個数を数えるデータ)
- 不良品の個数
- 故障回数
- クレーム件数
- 1日の注文数 など
「1個、2個、3個…」と数え上げられるタイプのデータです。
2-2. 言語データ(カテゴリカルデータ)
数値ではなく、言葉や区分で表すデータもQCでは重要です。
- 「良かった」「普通」「悪かった」といったアンケート結果
- 「Aライン」「Bライン」「Cライン」といった工程区分
- 「20代」「30代」「40代」などの年代
- 「国内製」「海外製」といった区別
こうしたデータは、「どのグループに属するか」を表す情報で、
「質的データ」「定性的データ」と呼ばれることもあります。
数値データと比べると、統計ソフトでそのまま平均を出す…という使い方はしづらいですが、
不良の傾向を絞り込んだり、新QC七つ道具で整理したりする際に力を発揮します。
3. 統計的品質管理(SQC)の考え方
大量生産の現場では、すべての製品を1つ残らず測ることは現実的ではありません。
そこで重要になるのが、**統計的品質管理(Statistical Quality Control)**という考え方です。
3-1. サンプリング(抜き取り)で全体を推測する
統計的品質管理では、
- 母集団(=全部の製品・全部のロット)から
- 一部だけをランダムに抜き取る(サンプリング)
- 抜き取ったサンプルを測定・分析し
- その結果から「全体の傾向」を推測する
という流れで品質を評価します。
ここで大事なのが**ランダムサンプリング(無作為抽出)**です。
人の都合で「きれいなやつだけ選ぶ」ような取り方をしてしまうと、結果に偏りが出てしまいます。
3-2. よく使われるサンプリングの種類
初心者の方は、名前だけでも押さえておくと後で楽です。
- 単純ランダムサンプリング
完全にランダムで抜き取る方法。乱数表などを使って選びます。 - 層別サンプリング
「ラインA」「ラインB」「ラインC」など、あらかじめ層に分けておき、
各層からバランスよくサンプルを取る方法です。 - 集落サンプリング
「この箱ごと選ぶ」といった単位でグループを選び、その中を詳しく調べる方法です。 - 系統サンプリング
「10個ごとに1個抜き取る」といったように、一定の間隔で抜き取っていく方法です。
4. 正規分布と基本統計量
―「平均」と「ばらつき」を押さえる
QCでよく出てくるキーワードが 「正規分布」「平均」「分散・標準偏差」 です。
ここではイメージがつかめる程度に、ポイントだけ押さえましょう。
4-1. 正規分布とは?
正規分布とは、
「真ん中あたりの値が一番多く、端に行くほど少なくなる、なだらかな山の形の分布」
のことです。
人間の身長や、安定した工程の寸法データなどは、
「平均値の周りにデータが集まり、そこから離れるほど少なくなる」という形になりやすく、
これをグラフにすると、左右対称のなだらかな山(ベル型曲線)になります。
4-2. 基本統計量:中心とばらつきを見る
品質データをざっくり理解するには、次の2つを意識すると良いです。
- 中心を表す指標
- 平均値:全部のデータを足してデータ数で割った値
- 中央値:小さい順に並べたときのど真ん中の値
- ばらつきを表す指標
- 範囲(レンジ):最大値 − 最小値
- 分散:データが平均からどのくらい離れているかを、二乗して平均したもの
- 標準偏差:分散の平方根。ばらつきの大きさを直感的に表す指標
QCでは、
「平均値が狙い値からどれくらいズレていないか」
「標準偏差がどれくらい小さいか(安定しているか)」
を見ることで、工程の状態を判断していきます。
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5. QC七つ道具 ― 現場の定番ツール
QC七つ道具は、現場でよく使われる基本的な分析ツールのセットです。
名前だけでも覚えておくと、会議やQCサークルでの会話がぐっと分かりやすくなります。
- グラフ(折れ線グラフ・棒グラフなど)
- チェックシート
- パレート図
- ヒストグラム
- 散布図
- 特性要因図(フィッシュボーン図)
- 管理図
ここでは、この記事との関係が深いものを少し詳しく見ていきます。
5-1. ヒストグラム
後ほど詳しく触れますが、ヒストグラムは
「データをいくつかの区間に分けて、その区間ごとの件数を棒グラフにしたもの」
です。
工程のばらつき具合や、分布の形(山が1つか複数か、左右非対称かなど)を確認するときに使います。
5-2. 特性要因図(魚の骨の図)
特性要因図は、「なぜ?」を整理するための図です。
- 右側に「不良が多い」「寸法が安定しない」などの問題(特性)
- 左側から「人」「機械」「材料」「方法」などの要因の枝
- さらに小さな枝として具体的な原因候補を書き出す
ことで、原因を抜け漏れなく洗い出せます。
5-3. 散布図と相関(詳しくは後ほど)
散布図は、2つの数値の関係を見るグラフです。
- 温度と不良率
- 回転数と振動レベル
- 作業時間とミス件数
など、組み合わせてプロットし、
「関係がありそうか」「強さはどれくらいか」を目で確認します。
6. 新QC七つ道具 ― 言葉のデータを整理する道具
QC七つ道具は数値データ向けのツールが中心ですが、
現場では「お客様の声」「作業者の意見」など言葉で表される情報もたくさんあります。
これを整理・分析するために考えられたのが、新QC七つ道具です。
代表的なものは次の通りです。
- 親和図法
→ 多くの意見・アイデアをカードに書き出し、似たもの同士をグループにまとめる手法 - 連関図法
→ 「Aが起こるとBになる」「Bが起こるとCになる」といった原因と結果のつながりを矢印で整理する手法 - 系統図法
→ 「目標 → 手段 → さらに具体的な手段…」と、木の枝のように展開していく手法 - マトリックス図法
→ 行と列に項目を書き、交点に関係性を書くことで、組み合わせを整理する手法 - マトリックスデータ解析法
→ マトリックスで整理したデータを、もう一歩進めて分析する手法 - アローダイヤグラム法
→ プロジェクトの工程を矢印でつなぎ、所要時間や順序を整理する手法 - PDPC法(過程決定計画図)
→ 計画に対して「起こりうる問題」と「その対策」をあらかじめツリー状に整理する手法
これらは、会議やQCサークル活動で意見を整理したいときにとても役立ちます。
7. ヒストグラム・正規分布・工程能力指数のイメージ
ここで少し踏み込んで、ヒストグラム・正規分布・工程能力の関係をざっくり押さえましょう。
7-1. ヒストグラムの読み方
ヒストグラムを描くときは、
- データを集める
- 最小値〜最大値の範囲をいくつかの区間に分ける
- 各区間にいくつデータが入ったかを数える
- 区間ごとに棒を立てる
という手順で進めます。
描けたら、次のポイントを見てみましょう。
- 山が1つで、左右対称に近いか?
- 山が2つ以上になっていないか?(昼勤と夜勤など、混ざっている可能性)
- 片側だけ長く尾を引いていないか?(片側だけ規格で切っていないか)
7-2. 工程能力指数(Cpなど)のイメージ
工程能力指数は、ざっくりいうと
「工程のばらつき(標準偏差)と、規格の広さのバランス」
を数値で表したものです。
- ばらつきが小さく、規格が広いほど → 不良が出にくい → 能力が高い
- ばらつきが大きく、規格が狭いほど → 不良が出やすい → 能力が低い
という感覚を持っておけば、最初は十分です。
8. 相関と散布図 ― 原因と結果の「つながり」を見る
品質改善では、「どの要因が品質に影響しているか」を見つけることが重要です。
そのときに使えるのが、散布図と相関係数です。
8-1. 散布図でわかること
散布図は、横軸に要因、縦軸に結果をとり、
1データずつ点を打っていったグラフです。
例えば、
- 横軸:焼き付け温度
- 縦軸:不良率
として点を打ったとき、
- 温度が高いほど不良率が下がっている
→ 右下がり → 負の相関 - 温度が高いほど不良率が上がっている
→ 右上がり → 正の相関 - 点がバラバラで方向性がない
→ 相関なし(関係が弱い)
といったことが目で見て分かります。
8-2. 相関係数のイメージ
相関係数(r)は、相関の強さを数字で表したものです。
値の範囲は -1〜+1 で、イメージとしてはこんな感覚です。
- +1 に近い:強い正の相関(ほぼ一直線に右上がり)
- 0 に近い:相関ほぼなし
- -1 に近い:強い負の相関(ほぼ一直線に右下がり)
詳細な計算方法は統計の範囲になりますが、
「散布図で点の並びがきれいな直線に近いほど、相関係数の絶対値が大きくなる」
というイメージが持てていれば、最初は十分です。
9. QCを体系的に学ぶには?
― eラーニングで基礎〜実践までカバー
ここまで、QC(品質管理)の概要や、QC七つ道具・統計的品質管理の一部をざっとご紹介しました。
ただ、実際に業務で使いこなせるようになるには、
- 基礎用語・考え方を体系的に学ぶ
- 手法ごとに「実務でどう使うか」のイメージをつかむ
- 自分の現場に当てはめて考える練習をする
といったステップが必要です。
「本を読んでみたけれど、途中で挫折してしまった…」
「統計の式を見るだけで眠くなる…」
という方には、動画と図解で少しずつ理解を深めていけるeラーニングがおすすめです。
Start engineerの「品質管理基礎コース」のご紹介
私たちが提供している eラーニングサービス Startengineer(スタートエンジニア) では、
製造業の新人・若手技術者向けに、QC(品質管理)を体系的に学べるコースをご用意しています。
▶ 品質管理基礎コース
(QC基礎講座・QC手法講座・QC実践講座)
このコースでは、この記事で触れたような内容を、
- アニメーションや図解スライド
- 例題・練習問題
- 現場での活用事例
を通じて、一歩ずつ段階的に学んでいけるように設計しています。
たとえば、こんなことが身につきます
- QC(品質管理)の考え方を「言葉で説明できる」ようになる
- QC七つ道具・新QC七つ道具の使いどころがイメージできる
- ヒストグラムや散布図を自分で描き、読み取れるようになる
- 統計的品質管理の基本用語に慣れ、会議での話が理解しやすくなる
- 自分の現場のデータで簡単な分析を試すきっかけがつくれる
「新人研修で品質管理の基礎を押さえたい」
「現場リーダー・管理者として、もう一度基礎を学び直したい」
という企業様・個人の方にご利用いただいています。
まとめ:QCは「難しい理論」ではなく「現場を良くする道具」
最後に、ここまでのポイントを簡単に振り返ります。
- QC(品質管理)は、お客様が求める品質を安定して実現するためのしくみ
- データには 数値データ(計量値・計数値) と 言語データ(カテゴリカルデータ) がある
- 統計的品質管理では、サンプリング(抜き取り)により、一部のデータから全体を推測する
- 正規分布や平均・標準偏差などの基本統計量を理解すると、品質データの見方がぐっと楽になる
- QC七つ道具・新QC七つ道具は、問題発見から原因分析・対策立案までをサポートする頼れるツール
- ヒストグラム・散布図・相関などは、工程の状態を「見える化」するための基本技術
- eラーニングを活用すれば、現場で働きながらでも無理なく体系的に学べる
QCは「数学が得意な人だけの世界」ではありません。
むしろ、現場の感覚とデータをつなぐ“共通言語” のような存在です。
少しずつ基本を押さえながら、日々の業務の中で「なんでこうなるんだろう?」と思った場面に、
この記事で紹介した考え方や道具をぜひ当てはめてみてください。
そして、もっと体系的に学んでみたいと感じた方は、
Start engineerの 品質管理基礎コース も、ぜひ一度のぞいてみてください。


